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こんにちは、はじめまして。マロンといいます。 ちょうど10年ぐらい前でしょうか…ドラゴンボールの悟飯ちゃんに再熱して、サイトを開設していたものです。サイトの方は、5年前に私生活が慌ただしくなったことを機に閉鎖し、今は倉庫として放置しています。 今更ながらに、悟飯ちゃん愛が再熱してきまして…それでも私生活が慌ただしいことには変わりないので、長続きするかもわかりませんが、しばらくの間、ネット世界の片隅でわーわー騒いでいたいと思います。
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ここで一度趣向をかえまして…連作お題もいっちょ置き土産^q^q^
といっても、これは前半は既出かな。

しかも前後半にわかれました^q^q^←


る 



もう、家には帰らない。
そう、決めたから。

「おかえりなさい」

渡されていた、鍵。
かちゃり、ドアを開ける。
同時に、ぽすんと柔らかく走る衝撃。
条件反射で受け止めれば、腕の中におさまったぬくもりは、にこり微笑んだ。

「きゅ、キュウ…?」
「はい!修学旅行から今日帰ってきたんです」

これ、スクさんへのお土産です。
可愛いシーサーのキーホルダーを右手に持って笑う愛らしい少年に、自然とこちらも笑みがこぼれる。
ああ、こんなあったかい気持ちになるの、久しぶりだな…と、想う。

「これ…三つ子のシーサー?」
「はい。それぞれ違うお守りの意味があるんですが…チョニとチョイとみつけて、大はしゃぎしたんです。まるで僕たちみたいだね、って……それで、あの」
「…ありがとう」

でも、渡されたそれをみて、少しだけ気持ちが暗く、なる。
きっと優しいこの少年は、僕の家族も三人だから――これを選んでくれたのだろう。
だけど、今――ぼくは家に帰ることを拒否している。

「おいおい、家主への労いはないのかい?キュウ」
「あ、おとうさん!」

ひょこり、背後から声をかけられて、思わず息が、つまる。
忘れてたわけじゃ、ないけども。
それでも、まだ、慣れない。
だが、その硬直すら解き放つように、キュウは背後に立つ男性に飛び込んでいった。

「まさかおとうさんが帰って来てくれるなんて…!いつ、帰ってきてたんですか?」
「ん、一昨日かな。ようやく大きな仕事が終わったんでな…お前の顔をみたくなったんだ」
「僕も、おとうさんに会えて嬉しいです」

なんだか…拍子抜けだ。
まさか、この人がこんな柔らかい空気を纏うことができるなんて。
同時に、少しだけ…ほっと、した。なんでかは、わかんないけども。
「ほら、このキーホルダーは…まるでおとうさんと、アルにいさんと僕みたいじゃないですか。だから三人分買ってきたんです」「ほう、それは大事にしないと、な」そんなやりとりをすぐ傍らでしている親子。
ここだけみたら、とても優しい家族のようにさえ、思う。

「なに玄関でずっと立ってるんですか。晩ご飯いらないならいいですけど」
「ごめんなさい、アル兄さん。でもすごく嬉しかったんです。おとうさんが帰ってきてるなんて!」
「あえて俺の帰宅はキュウには知らせなかったのか、アル」
「ええ。サプライズの方が喜びもひとしおでしょう…半年も姿みせなかった父親ですから尚更」
「さすがは気のきく息子だ」

気のせいかな、なんか一部春爛漫、一部氷河期のオーラが漂ってる気がするのは。
こ、これは…ぼくは完全なる場違いな気がするんですが。
…アルがこんな風になるのって、なんか珍しいよね。それに、クロウ先生も。あまり知りあって時間経ってないけど…こんな感情むき出しにも、なれるんだ。

「あ、じゃあスクさんがしばらくうちに泊まるのって、おとうさんのお仕事のお手伝いですか」
「え…ああ。うん」

ぼーっと成り行きを見守っていれば、くいっと袖をひっぱられる感覚。
はっとその先をみれば、瞳をきらきらと輝かせた少年。

「ああ。スクくんは、少し特殊な人格形成パターンでな。ぜひともサンプルをとらせてもらおうと思ったんだ…今後の研究のためにも」
「やっぱり。その髪の毛、染めたんじゃないですよね?すっごく綺麗だもの」
「…ありがとう、キュウ。ちょっとの間、やっかいになるけど」
「えへへ、すごく嬉しいです。憧れのスクさんがいてくれること。それに、お仕事一緒にするスクさんがうちにいるってことは、おとうさんもその間は家にいるってことでしょう。だから僕のほうこそ、ありがとう、です!」

ううん、違うよ。キュウ。
いま、すごく救われたのはボクのほうだ。
…少しだけ、自分がいましていることの価値がみえたんだから。





――貴方は、馬鹿ですか

目覚めたときに、声をかけてきたのは…友人だった。
正直何がなんだか、わからなかった。
そんなボクに、友人は「アイツは私の父です」と簡単にココにいる理由を教えてくれた。
きっと驚くべきところだったのだろうと、今は思う。
だけどそんなココロの動きすら、もはや億劫で、ただぼんやりと目の前に立つ友人をみていた。

快楽の波がすぎ去れば、そんな一瞬の享楽に身を落とした自分が滑稽でならない。
まだ、ココにいる自分が…滑稽で、情けなくて――ああ、でも、その痛みすら、どうでもよくなってきてて。
これが、コワレルということなのかな、と遠くで思っていた。

そんなボクに、無言でつきつけられた携帯電話。

――悪いとは思いましたが、勝手に見ました……貴方とティメに何があったのかはあえて問いません。それでも、貴方は自分の存在を軽視しすぎだ。

大量の新着メール。
それこそ数えきれないほどの…ボックスが埋め尽くされる勢いだ。
うち、ほとんどはあの馬鹿の名前が記されていて…とてもじゃないけど、読みたいとは、思わなかった。
ゆっくりと首を振るボクに、アルは呆れたように画面をスクロールして…一通のメールを開いた。

 すくだいじょうぶか

とても、短い一言。
すべてひらがなのメールのそれは…機械音痴の兄特有の打ち方、だった。
何度教えても、変換ができなくて。そもそもアドレス帳を呼び出すことすら四苦八苦していた兄。
ようやく、返信という形で、メアドを打ち込むことだけ教えて…、どうしても電話が繋がらないときはそれで連絡してといったのに。
それでもいままで一度も、メール、くれなかったのに。

絵文字も句読点も何もない。
だけど、そのたった一言に、崩壊だけを望んでいたココロが、動いたのが…わかた。

――貴方は消えてはならない、違いますか。

ぼくは、ただ「ごめんなさい」を繰り返すことしか、できなかった。


~~~
お題SSSなのに長すぎてぶったぎりました^q^
普通の1話より長くなってしまったかも……
とりあえず…9クロが楽しかったよ^^b

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