こんにちは、はじめまして。マロンといいます。
ちょうど10年ぐらい前でしょうか…ドラゴンボールの悟飯ちゃんに再熱して、サイトを開設していたものです。サイトの方は、5年前に私生活が慌ただしくなったことを機に閉鎖し、今は倉庫として放置しています。
今更ながらに、悟飯ちゃん愛が再熱してきまして…それでも私生活が慌ただしいことには変わりないので、長続きするかもわかりませんが、しばらくの間、ネット世界の片隅でわーわー騒いでいたいと思います。
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世界はそれを愛と呼ぶ Ⅸの前編です。
ひたすらティメスクのターンです。
(ほぼこのシリーズすべてがそうだっていう突っ込みは甘んじて受け入れます。笑)
ひたすらティメスクのターンです。
(ほぼこのシリーズすべてがそうだっていう突っ込みは甘んじて受け入れます。笑)
「だいじょうぶか?」
「てぃ…?」
見開かれた、瞳。
ああ、やっぱすんげぇ綺麗。
どこまでも澄んだ黒曜石。その底は、まるで深い海のように、ゆらゆらと揺れる紫紺色。
きっと、その色を知っているのは…こんな間近で見れたのは俺だけなんだ。
そう思うと、どうしようもなく心が、歓喜に震えた。
そんな思考とは裏腹に、すぐ背後で切りかかっている男の腹に全力で蹴りを叩き込む。
カエルが潰れたような無様な音が聞こえたが、これでしばらくはほんとうに動けないだろう。
もし、スクがいなければ、それこそ地獄よりもひどい苦しみを与えてやるところだが…この王子様はそれを望みやしないことは明白だ。
「ち…が、でて――」
「あー。これぐらいどってことないって」
やんちゃ盛りな王子たちや、鬼畜全開の王様にぼこられたときのほうがよっぽど重症だし。
とはさすがにいえないけども。
これぐらいの傷、護衛団で修行してたら、日常だ。
ともいえないんだけど。
それにしてもミスったな…。
まさか四肢を封じたにも関わらず、あんな動きができるとは…俺の読みが甘かった。
スクの告白に、気を取られていたことも、ある。
男の動きに、判断が一瞬遅れた。
小型ナイフしかもたない今の装備では、スクを守るには俺が盾になるしかなかった。
咄嗟に、五歩先にいたスクを引っ張って、抱き込んだ。
まあ、刀投げの威力からしてもたいしたレベルじゃないから、そんな大怪我になるとも思えなかったし。
でも、それをスクの目の前で見せたのは、まずかった。
真っ青になっちまって、まともに言葉すら発せなくなってる…スク。
…さっき、顔面蒼白になってサーベルを振り上げたときよりも、余程我を失っている。
小さく、ご、め…んと呟いたのが聴こえてきて…そんな言葉が欲しいわけではないのに。
「俺、すっげぇ鍛えてるからさ、筋肉の壁ではじいたから…血もほらもう出てねぇだろ?」
「で、でも…痛いよ…切り傷は痛いよっ…!」
ほらと背中を見せれば、スクは弾かれたように言い募った。
「そだな…あえていうなら」
「僕なんか…ぼくなんか、守ったせいで…ティ……」とまだなお俺の背中に言い続けるスクに、くるり振り向いて、にこり微笑みかける。
「スクが痛そうにしてるのが、痛い」
「っ、な、」
「あのな、いっとくけど…俺、別にお前が王族だから好きになったわけじゃないからな!」
「ティ…」
「王族とかんなもん関係なく…スクが好きで、守りたいって思ったから、俺動いたんだ。今だって、さっきだって」
なあ、さっき教えてくれたこと、それはすごくお前にとって…お前の今までを、そして今からすらも縛るようなことなんだろう?
ずっと、お前は…そのことで思いつめていたんだろう?
優しい人たちだから、だからこそ、その人たちのためになりたい、って。
枷にはなりたくない、って。
わりぃけど、俺、きっとお前の気持ちを理解することはできねぇ。
だって、俺は――
「俺、ほんとに大丈夫だからさ。だから、そんな顔すんなって」
ただ、お前に笑っていて欲しいんだ。
ほら、と元気よく腕を回して見せれば、スクはぽかんとほうけた顔をした。
その頬をひっぱってやる。
「ひゃ、ひゃなしてっ」
「俺の薬は、スクの笑顔。だから、笑えって」
思う存分、その柔らかい頬の感触を楽しんだ後、ぱんと全体を包み込めば、スクはようやく…笑った。
「ありがと…ティ」
目の端に浮かんだ雫すらも、愛しい…微笑みだった。
それは、ほんとに俺のささいな傷の痛みなんて、遥か彼方においやる威力を持っていた。
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ティはどれだけ頑丈なんだって突っ込みはセルフでしておきます。
単体では最強だと信じて疑ってないんだぜ…?
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